June 11, 2020

News Picks と箕輪厚介とヒット本のからくり

箕輪厚介という売れっ子編集者が文春砲のターゲットになり、セクハラが発覚し活動自粛。

箕輪氏は堀江貴文の本を中心に、実業家の前田裕二「メモの魔力」など売れるビジネス本を世に多数出している。

実力派であることは間違いないのかもしれないが、堀江と馬があうだけに、かなりアクの強い人物のよう。

有名人の書籍を代筆しているライターに嫌がらせ的なセクハラメールを送りつけていたことが発覚。

これは、組織の権力者>>>>>>一介の無名フリーライター という構図から生じた一件。ヤフーニュースのコメント欄を見ていると、「編集者あるある」と書いてある。明るみには出ていないだけで、原稿料不払いとか、パワハラ、セクハラが多そうな印象(業界全体的な問題?)稼げる編集者だと、益々助長するのかな?と思う。最近のお笑いの世界でも明るみに出ているが・・・

なぜ、箕輪氏はほかの編集者よりヒットが多いのか?について、一連の記事を読んだりしていて自分なりに理解したことが・・・

 

2017年にジュンク堂書店主催のイベントで、河出書房新社と筑摩書房の社長対談を聞いたことがある。

その時のメモをまとめると、こんな感じ。

小野寺優(河出書房新社社長)×山野浩一(筑摩書房社長)

自己紹介があり、

河出書房新社は100年以上続く老舗出版社。その昔は本棚の飾り的書籍の「百科全集」などを手掛けていて、その後は小説などにも手を広げ、田中康夫の「なんとなくクリスタル」、俵万智の「サラダ記念日」などの大ヒット本もある。今は、マニア向けのMOOK本などもあり、あれこれバランスよく出版しているとのこと。

筑摩書房の方はものごと、人間の本質を届けるような著書づくりをモットーにしているとのこと。

 

インターネットと本

1996年 ネット人口3.3%(この時、出版界のピークで 2兆円の売り上げ規模)

2000年 ネット人口37%(徐々に売り上げ減少)

2016年 ネット人口83%(売り上げ1兆5400億円に減少、書店数激減 4割の13000件、55の自治体に書籍なし)

ネット人口が増えるに連れて、物体としての本の売り上げは減少している。それをカバーするかのように、販売点数は増えている。

大日本印刷においては500部単位で印刷できるとのこと。そして、SNSを使った販売戦略も盛んに。

小型書店が消える一方、書店の大型化は進み、売れるものと売れないもの、が極端に。いかに初動で目立つか、がある意味勝負。ロングセラーも減っている。そこそこ売れる、というのが少ない。

若い人は新聞を読まないので、新聞広告も効果がいまいち。若者はSNS(TwitterやInstagram)などで発信し、口コミで売れるものも多い。

昭和時代は「良い本を出して、広告を打てば売れる」のビジネスモデルが崩れた。今は、Amazonのレビューを見てから買う人が多い。

書店に来るのは、本が好きな人ばかり。ぶらっと本屋に来て、偶然手に取る、などの購買者が少ない。

 

インプレックス総研による電子書籍事情

電子書籍は、1億9000万円 76.9%がコミックの売り上げ 大手4社でシェア2/3 講談社、集英社、小学館、角川)

コミックや雑誌での売り上げが多い。文学はさほど読まれていない。今は無料コミックも増えてきており、無料で読めるネット小説も登場。

 

両社長とも、この環境でいかに、新人小説家を発掘し、本を売っていくのか・・に頭を悩ませているようだった。

 

私は、河出書房新社のMOOK本はたまに購入している。資料性と娯楽性を兼ね備えているマニア受けする本を出版されているので。こういう本はロングセラーだと思うので、ずっと作り続けてくれるとありがたい。

 

ここで、箕輪氏に戻す。

箕輪氏は、わりと思ったことを言うキャラで、ある意味、ちょっととんがった人を惹きつけることが上手いらしい。堀江氏からも信頼が厚いということで、堀江信者にも支持されている様子。Newspicsの編集長であったが、自身のファンを集めて、個人的な有料会員サロンを開き、そこで新刊本を宣伝する仕組みを作り上げた。Twitterでオススメ!と拡散してもらったり、発売前のAmazonサイトで本の高評価をつけてもらう。評価の高い本は、週刊売り上げで上位にランキングするので、人の目に留まりやすい。なので、「売れている本をチェックしたい」層に購入される可能性が高い。Amazonで売れている本は、一般の書店の平積みにもなる。こういう好循環を作り出すことにより、ヒット本を出しているんだなーと思った。Newspicsの会員数は結構なもんだと思う。その数%がファンになってくれるのは大きい。

彼は自身のサロンの事を「いけす」と表現していた。つまり、糸を垂らせばすぐに食いつく魚がたくさんいる場所、という意味。別名ファンクラブとも言う?ツイートはホリエモンからも信者向けに発信され、爆発的な瞬発力で拡散する。

要はスタートダッシュで本を売り切り、重版に継ぐ重版になったと「売れている実績」を作り出す。「そんなに売れている本なら、ポチっとしなくちゃ」と思わせる。

Amazonレビューは、自分としても本を選ぶ前に参考にすることが多いが、この件で、レビューがあまり参考にならない本もあるんだな、完全なサクラではないけれど・・・と認識を改めた。

今の時代、そこそこの内容であれば、意図的にヒットを生み出しやすい時代なのかも。ただ、ヒット本が本当に有益なのかどうかは、自分で判断するしかない。

 

最後に、堀江氏や箕輪氏になぜファンがつくのか?結構人のことを小馬鹿にしていたり、口も悪いし、嫌いな人も多いとは思うのに・・。

要は「成功した人」にあやかりたい心理かなー?と思う。堀江氏なり、箕輪氏なりのマインドを手に入れれば、自分も彼らみたいな成功ができるのでは? 本代は高くてもせいぜい2000円くらい、誰にでも躊躇なく買える金額。「読まないと」と思わせる。

お金があれば、特に男はモテるのは間違いないし、世の中からも一目置かれて、誰に会っても「稼げる俺、価値ある自分」に自信が持てる。そうこうしているうちに、勘違いしちゃう人がいるんだろうな~と思う。

June 09, 2020

フィッシング詐欺未遂

コロナウイルスの影響で自粛生活中、YoutubeやPinterst、Instagram などを結構見たりしている。

先日、Pinterstを見ていたらいきなり「おめでとうございます!iPhoneが100円で買える企画に当選しました!」という画面が開いた。

URLなどは確認出来なかったので「ラッキー♪」と思って、簡単なアンケート画面に進む(このサイトを見る頻度はどれくらいですか?とかそんな質問だった)。入力していると、時計のカウンターが出てきて、1分以内に処理しないと、権利が無効になります。と出ている。最初はメールアドレス(Gメールにした)を入力させられ、次はクレジットカード番号、決済画面に進む感じ。

最終的に「10万円もする機種が100円、何のために?何も応募してないのに!電話を送ってもらうということは、得体の知れない団体に住所を知られることではないか」

なんか変だな。と思い、iPhoneに惹かれながらも「100円購入」ボタンを押す前に画面を閉じた。

しかーし。クレジットカード番号は全部入力してしまったー。大丈夫だろうか・・。

急に不安になり、カード会社のサイトにログインしてみたところ、

今のところ得体の知れない会社からの請求はない。念のため「カード使用したら、その都度メールおよびアプリ通知でお知らせする」に設定をしておいた。変な使用があったら、速攻連絡して利用を止めなければ・・・。

調べてみたら、こういう、人の心理に漬け込む(高級かつ、あったらいいな♪というものがタダに近い金額でもらえる、時間制限をかけていて「すぐに処理しないと損する!と思わせるなど)詐欺被害が横行しているみたい。いつもは冷静なつもりでも、簡単に騙されることがわかった。

騙す人は「ターゲットに考えさせる隙を与えない」ということを研究している。

「世の中に上手い話はない」、「得したい心理はつけ込まれる」を意識したいと思う。

コロナで人に会わないことで、たわいもない「情報交換」が疎かになっていることもあり油断したな、と思う。

カード会社のアプリにももう一工夫欲しいところ。例えば、身に覚えのない使用が認められる場合は印をつけられて引き落としが一時的に停止するとか・・。メールで事前に伝えられるとか。

念のため、明日カード会社に連絡しておこうかな。カード再発行すると1000円くらいかかるんでは?

100円のためにかえって損やないかい!電話も繋がるかどうかわからないし、面倒だ・・。

カード決済はお金の引き落としにインターバルがあるからいいけど、リアルタイム決済だと、その場でお金を払うことになるので、かなり危険だな、と思った。相手に渡ってしまったお金は取り返せないだろう。口座番号さえわかれば、いくら引き落とそうとお構いなしなわけだし。

スマホ決済が進んでいる中国などは、詐欺被害に対してどう対処しているのだろうか?

 

 

 

February 27, 2020

ねじまき鳥クロニクル 東京芸術劇場

村上春樹原作の芝居を見てきた。小説は全3巻にわたる長編で、これをどう、料理するか?!と興味が沸いて。

一言で言えば、クリエイションとしては素晴らしかった。まさに、演劇の醍醐味を味わった感じ。

ただ、芝居の内容やセリフに関してはイマニだったな~と思う。

自分は原作を読んているので、各キャラを親しみを持って、事前の予備知識ありで見ているわけで、それでも、かなり違和感あった。正直、ダイジェストにもなっていない感じだし、小説とは別物で考えてもらった方が良かった気がする。小説が描きたかったことが伝わっていない気もする。全巻をやるのではなく、第1巻とか2巻だけにしておくとかね。ミュージカル王家の紋章スタイルの方が良かったんでは?!

原作を読んでいない人には、全体を通して「はぁ?」「何がなんだか意味不明」となっているハズ・・わからないものをわかろうとしながら見るのは大変に疲れるのよ。今言ってるセリフを聞き逃したりするし。小説とは別物と思って楽しむ舞台かと思った。

ただ、創作ダンスや舞台セット、照明、音楽をうまく使い、演出して描いている世界観が素晴らしくて、小説世界を良く表現しているな~と思った。特に音楽に合わせた創作ダンスを駆使した表現は素晴らしくて、俳優陣の奮闘がうかがい知れた。皆さんの身体能力、表現力が抜群だった。ああいう演出を考え出した演出家に拍手を送りたい。間違いなく天才だと思う。

主人公の岡田は2人が1人を演じている(Wキャストではない)。一人がセリフを言っている間に、もう一人は内面を表す動きをしていたり、鏡の中の自分を演じたり。セットの壁や小道具のソファーからも、オーラというか現場の空気観を体現するダンサーがアメーバーのようにヌルリと出たり入ったり。主人公を迷宮に導いたり。不穏な気配となって現れたり。岡田が異界に居ることを知らしめるなど、随所に工夫があって目が離せなかった。

残念ながら、演出・振付・美術は日本人ではなく、イスラエル人のインバル・ピントさんという方。

最近のホリプロはエッジの効いた作品も結構あって、質の高さを追求していて「本気」を感じる。世界上演を視野に入れているんだろうな~と思う。

この芝居は、小説のねじまき鳥とは別物と思ってみれば楽しめると思うので、未見の人にもオススメしたいと思った。

<ホリプロ公式サイトより>

 

 

世界中で絶賛される村上春樹の代表的長編小説『ねじまき鳥クロニクル』――。“Haruki

Murakami”が、世界で評価されるきっかけとなった作品の舞台化である今作品。この舞台を創り上げるのは、イスラエルの奇才インバル・ピントと気鋭のアミール・クリガー、日本の演劇界に新しい風を送り続ける藤田貴大、そして独自の音楽世界を持つ大友良英。
主演には、演劇モンスターの異名をもつ成河、映像を中心に俳優として目覚ましい活躍をみせる渡辺大知の2人。Wキャストではなく、2人で岡田トオルという人間の多面性を表現していく演出となる。
”死”への興味を持つ風変わりな女子高生・笠原メイを演じるのは、ピュアさと色気を併せ持つ門脇麦。さらに強烈な個性を放つ俳優陣が加わる。
芝居、コンテンポラリーダンス、音楽が見事に融合し、既成ジャンルを打ち壊す独創的な空間が立ち現れる。

アフタートーク開催決定!詳細はこちら>

 

演出・美術・振付のインバル・ピントは、日本ではミュージカル「100万回生きたねこ」や百鬼オペラ「羅生門」を手掛け、高い評価を受けた。彼女は原作の世界をファンタスティックに描き、唯一無二の舞台空間を生み出して日本の演劇界に大きなインパクトを与えたことは記憶に新しい。
共同演出と脚本を担当するのは、演劇団体「マームとジプシー」を主宰する藤田貴大。様々なジャンルのアーティストとコラボレートするなど現代演劇の新たな可能性を広げている藤田が、インバル・ピントと初の共同演出に挑む。
そして音楽は、藤田が絶大な信頼を寄せる、世界的な即興演奏家の大友良英。NHK「あまちゃん」「いだてん」など映像作品の音楽でも広く活躍する大友によって、演出家の世界観が生演奏と歌でヴィヴィッドに体現される。

村上春樹作品の舞台化といえば、蜷川幸雄演出による「海辺のカフカ」が今年2月のパリ公演、5月の凱旋公演で大きな反響を巻き起こしてラストステージを終えたばかりだ。
今年、作家デビュー40周年を迎えた村上春樹の作品群の中でも、きわめて重要な意味を持つと言われる長編『ねじまき鳥クロニクル』。その深い迷宮のような世界が、時代の先端を疾走するエッジの効いた表現者たちの手によって、どのように舞台の空間に浮かび上がるのか。村上ワールドの新たな演劇表現への期待が高まっている。

«ねじまき鳥クロニクル

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